実家。

2002年1月3日 ダウントリム
今日は旦那と一緒に、私の実家に遊びに行ってきた。

母は年末から風邪を引いているらしく、あまり本調子ではない様子。
父は、母親(つまり私の祖母)が昨年脳溢血(脳卒中だったかも)で倒れていたので、この正月休みを利用して帰省中。

なんとなく寂しい空気の自宅に、それでもなんとか明るい風を吹き込みたくて、ついつい長居をしてしまった。
 
 
 
 
しかし。実家とはなんだろう。

私が家を出たあと、両親は長年住んでいた家から引っ越しをした。今両親が住んでいる都営住宅は、私にとっては何の思い出もない、他人の家みたいなものである。
それでも、そこに両親が住まい、私を娘として迎え入れてくれる以上、そこが私の実家である。

以前、昔家族で住んでいたアパートの目の前を通ることがあった。物心ついてから嫁に行くまで、長い長い時間を過ごしてきたアパートの一部屋が、空き部屋のまま存在しているのをこの目で見た途端、なんだか涙が止まらなくなった。
引っ越しの日に、全ての家財道具を運び出し、ガランとなった部屋の中を見たときの寂しさが、その時になってようやく明確な形を持った悲しみとして襲ってきたのかもしれない。
今私がいるべき場所、私が存在したいと思う場所は、旦那と一緒に住んでいるこの家だけれど。
私の大切な思い出が帰る場所は、もうここにはないのだ。
ただいまと言ってこのアパートのドアを開けても、そこにはもう誰もいない。ただ空虚な空間が広がっているだけ。
当たり前のことだと分かってはいるが、何故かそのことが無性に悲しかった。

 
 
実家とは何か……と今の私が問われたら、
「向かえてくれる家族がいる場所」
と、そう答えるしかない。
思い出の帰る場所は、もう思い出の中にしかないのだから。

あの場所を失ったのは、今でも悲しい。でも、あの場所を失ったからこそ、あの場所で一緒に思い出を作ってきた人達を、大切にしたいと思う。
その人達の心の中にも、きっとあの場所での大切な思い出があるはずだから。

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