息子の嫁
2001年10月23日私の仕事は美術画集の編集だったりする。
そんなわけで(どんなわけでしょう?)今日も仕事で文字校正を行っていたり。
そんな中、自分の担当作家(女性)のページを校正していた男性社員が私を呼びました。
「おかちゃん、この文章おかしいよな?」
ん?なんかやばい文章書いちゃってたかしら私?
と焦ってその男性の元へ駆けつけると、問題になっていたのは私の書いた文章ではなく、芸術家本人から提出された、自分の経歴を記した文章の方でした。
どこがいけないんだろう?と紙面をのぞき込むと、以下のような文章が。
『息子の嫁が先生と一緒の写真を撮って頂きました』
……既に日本語じゃないよ、これ(汗)
前後の内容から察するに
『先生(これは美術評論家の某先生のこと)と一緒に画面に収まった写真を、息子の嫁に撮ってもらった』
ということなんだろうということはわかった。
だが、敬語のかかる先が間違っている。
これじゃあ息子の嫁に敬語を使ってしまっているではないか。
敬語をかける相手は評論家の先生であるべきであり、たぶん芸術家の方もそういう意図で書こうとしたのであろうことも推察できる。
書き直さねばなるまい。
しかし元の文章をあまり大きく変えてはいけないという不文律がある。
(お年を召した芸術家の方々は、プライドが高い。勝手にいじり倒されたとなるとへそ曲げちゃう人も多いのだ)
ここからが大変だった。
アキラ「えーと…『息子の嫁に頼んで、先生とご一緒の所の写真を撮ってもらいました』じゃだめですか?」
男性社員「いや、『写真を撮ってあげる』って言い出したのは息子の嫁らしいねん」(この方は関西出身です)
アキラ「それじゃあ『息子の嫁に勧められて、先生とご一緒の所を写真に撮ってもらいました』だとどうですか?」
男性社員「それだと、なんか息子の嫁が会場仕切ってるみたいな印象にならんか?」
…………ことごとくネックになるのは『息子の嫁』。
くそう、『息子の嫁』めぇ〜!!(涙)
と、ここまでうんうんと悩んでから気が付いた。
さっきから『息子の嫁』『息子の嫁』って連呼しているけど…………
まずこの言い回しがおかしくないか!?
嫁は息子のに決まっているじゃないか。
(まあ、いとこの嫁とか甥っ子の嫁とか兄弟の嫁とかもあるだろうが……)
少なくとも壮年以上の女性が『嫁』という言葉を出した時点で、暗黙のうちに『息子の娶った奥さん』というイメージが発生すると思うのだが。わざわざ誰の嫁かを明示する場合は、息子以外の親戚や友人などの、『自分の息子以外の嫁』の場合が普通ではないだろうか。
『娘の嫁』というのは、今の日本ではかなり数少ないケースだと思うし。
『息子の嫁』
この遠回しな言い方。
匂う……妙なスメルが匂ってくる………
自分自身も『嫁』の立場である私にはどうも、余計な何かが匂って来るような気がしてならない。
もしかしてこの芸術家の家の中では『渡××間は鬼××り』のラーメン屋のような光景が繰り広げられているのではないだろうか……
そんな想像をしてしまいたくなる言い回しだ。
(かなり余計なお世話かつ、想像力過多)
うーん…………言葉の響きや言い回しは、読む人間に思わぬイメージを呼び起こすものなのだなあ…………勉強になったよ。
ちなみに。
文章の書き直しはというと。
『息子の嫁にカメラを任せ、先生とご一緒の写真を撮らせて頂きました』
に決着しました。
どんなに文章を変えたところで、やっぱり『息子の嫁』は揺るがないなあ(汗)
そんなわけで(どんなわけでしょう?)今日も仕事で文字校正を行っていたり。
そんな中、自分の担当作家(女性)のページを校正していた男性社員が私を呼びました。
「おかちゃん、この文章おかしいよな?」
ん?なんかやばい文章書いちゃってたかしら私?
と焦ってその男性の元へ駆けつけると、問題になっていたのは私の書いた文章ではなく、芸術家本人から提出された、自分の経歴を記した文章の方でした。
どこがいけないんだろう?と紙面をのぞき込むと、以下のような文章が。
『息子の嫁が先生と一緒の写真を撮って頂きました』
……既に日本語じゃないよ、これ(汗)
前後の内容から察するに
『先生(これは美術評論家の某先生のこと)と一緒に画面に収まった写真を、息子の嫁に撮ってもらった』
ということなんだろうということはわかった。
だが、敬語のかかる先が間違っている。
これじゃあ息子の嫁に敬語を使ってしまっているではないか。
敬語をかける相手は評論家の先生であるべきであり、たぶん芸術家の方もそういう意図で書こうとしたのであろうことも推察できる。
書き直さねばなるまい。
しかし元の文章をあまり大きく変えてはいけないという不文律がある。
(お年を召した芸術家の方々は、プライドが高い。勝手にいじり倒されたとなるとへそ曲げちゃう人も多いのだ)
ここからが大変だった。
アキラ「えーと…『息子の嫁に頼んで、先生とご一緒の所の写真を撮ってもらいました』じゃだめですか?」
男性社員「いや、『写真を撮ってあげる』って言い出したのは息子の嫁らしいねん」(この方は関西出身です)
アキラ「それじゃあ『息子の嫁に勧められて、先生とご一緒の所を写真に撮ってもらいました』だとどうですか?」
男性社員「それだと、なんか息子の嫁が会場仕切ってるみたいな印象にならんか?」
…………ことごとくネックになるのは『息子の嫁』。
くそう、『息子の嫁』めぇ〜!!(涙)
と、ここまでうんうんと悩んでから気が付いた。
さっきから『息子の嫁』『息子の嫁』って連呼しているけど…………
まずこの言い回しがおかしくないか!?
嫁は息子のに決まっているじゃないか。
(まあ、いとこの嫁とか甥っ子の嫁とか兄弟の嫁とかもあるだろうが……)
少なくとも壮年以上の女性が『嫁』という言葉を出した時点で、暗黙のうちに『息子の娶った奥さん』というイメージが発生すると思うのだが。わざわざ誰の嫁かを明示する場合は、息子以外の親戚や友人などの、『自分の息子以外の嫁』の場合が普通ではないだろうか。
『娘の嫁』というのは、今の日本ではかなり数少ないケースだと思うし。
『息子の嫁』
この遠回しな言い方。
匂う……妙なスメルが匂ってくる………
自分自身も『嫁』の立場である私にはどうも、余計な何かが匂って来るような気がしてならない。
もしかしてこの芸術家の家の中では『渡××間は鬼××り』のラーメン屋のような光景が繰り広げられているのではないだろうか……
そんな想像をしてしまいたくなる言い回しだ。
(かなり余計なお世話かつ、想像力過多)
うーん…………言葉の響きや言い回しは、読む人間に思わぬイメージを呼び起こすものなのだなあ…………勉強になったよ。
ちなみに。
文章の書き直しはというと。
『息子の嫁にカメラを任せ、先生とご一緒の写真を撮らせて頂きました』
に決着しました。
どんなに文章を変えたところで、やっぱり『息子の嫁』は揺るがないなあ(汗)
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