そして今日も仕事が手に着かない。
いや、それじゃいかんのだ!!
やってますよ、きちんと。評論とか書いてますよ。
「この『時』という作品で表現された三人の女性は北欧神話に現れる『時間の3女神』と良く似通った物を感じる。それぞれが過去・現代・未来を守護するこの3女神は、人間の思考では到底はかり知る事のできない『時間』という概念の具象化で……」
モキー!!頭がおかしくなりそうだー!!
この薄っぺらい知識とすかすかの脳味噌をフル活動させたところで、深い含蓄に富んだ評論なんて書けるもんかー!!(仕事放棄)
……というのは、まあ半分本当で半分ウソですが(笑)やっぱり文章書いている時が一番幸せです、私。
 
 
さて、こんな私の脳味噌を活性化してくれる物が、映像とエッセイとネットである。
(漫画は思考の方向性が拘束されてしまいがちなのでパス。あれは純粋な楽しみです)
つい最近フリスク君から教えてもらって、今一番プッシュしているサイトがここ。
リンク
ここの文章は全てが面白くて、脳味噌のいろんな所をくすぐってくれる。ネットと文章の両方の側面から一押し。特にお気に入りなのが、『otto観察日記』と『むすめ観察日記』。
なんだか、我が身と我が家庭を振り返ってしまいたくなる、楽しく暖かい文章です。
 
 
そして、映像の分野で今一番プッシュしているのが、インド出身の監督ターセムの映画第一作「ザ・セル」。ターセム監督の作品は、PVやCFの仕事をしていた時から気になっていた存在だったのですが、この「ザ・セル」でも期待を裏切らない映像世界を構築してくれてます。
話の内容としては、よくある連続異常殺人事件(付け加えるなら、よくある精神世界ダイブ物)なのですが、この映画の見所は内容よりもビジュアル!!犯人が作り上げたとんでもない殺人装置とか、犯罪者の精神世界の中とか、もーたまりません。
なんと言っても、犯人の精神世界が良い。至る所に現代芸術目白押し。馬を輪切りにしたり、人間の背中にフックかけてぶらさげちゃったり、オブジェとして被害者達にボンテージ衣装着せてみたり……と、いろんな作家さん達の作品をモロに真似っ子してます。(まあ、これはパクリではなく霊感源とかリスペクトという意味だと解釈していますが)

しかし、こうして見ていると、いかにコンテンポラリーアートの1分野として『神経症的』な作品が多く発表されているかがよく分かりますね。これも時代の空気を反映しての事なのかもしれません。
一昔前は「不健康・不謹慎・不道徳」の3つで片づけられてしまったはずの作品が、曲がりなりにも受け入れられているという事実。これは本当に興味深いです。もちろん、現代芸術はこういうものだけで構成されているわけではないのですが、それでもやはり題材がショッキングであるだけに、注目を集めやすいのでしょうね。
抽象的表現としてではなく、現物としての「死・腐敗・痛み・性」が生々しく表現される時代。直接的な表現をすること自体が、現実の巧緻又は杜撰な複製であること。そしてそれが現実という物に対する二重拘束となっている部分にも注目しないといけないのですが、そこまでは私の無能な脳味噌では上手く肉薄できそうもないので取り敢えず諦めます。

まあ、なんだか訳の分からないこと書いてしまいましたが(自分でも分からん)、とにかくそういう雰囲気を濃密に秘めている映画なんですよ、「ザ・セル」は。

あと、このDVDを見ていて気になったのが、特典として収録されていた劇場版予告ですね。アメリカ版・国際版・日本版と、3種類入っていたのですが、重点を置いている場所が3つとも見事に違う。

●アメリカ版→「サイコサスペンス」としての宣伝。事件の経過をうまくなぞって、話の内容への興味を煽る。観客の興味が話筋にあるという明確な判断が見られる。
●国際版(たぶんヨーロッパ向けと思われる)→「前衛的な芸術映画」としての宣伝。話筋の説明は殆どなく、芸術性の高い映像を全面に出して興味を煽る。かなりショッキングな映像なども、観客達が「芸術」として理解できるという確信が見られる。
●日本版→「どこを宣伝したら良いか、配給会社が悩んでいる」状態。話筋だけを押し出すと芸術性が伝わらないし、かといってこの前衛性の高い芸術が一般に容認され難いということも分かっている。結局まとまりのない宣伝となり、前2本と比べると、かなり興味を引きにくい。なんとか観客達の注目を集めるために、黒バックに極太白文字のキャプションなどを付けて映像を一瞬途切れさせたりする。

とまあ、こんな具合なのですが。お国柄が良く出ていて、こういう部分も興味深かったです。
 
 
と、いうわけで、現代芸術に興味のある方は是非一度見てみてはいかがでしょうか?(深い知識のある方にとっては、ある意味笑える映像だと思われます。「おい、ここでこれが出てくるか」ってな感じで)

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